泣ける本が読みたい、モフの木です。
もしわたしが、だれかに1冊本を選んでプレゼントするとしたら、迷わず『赤毛のアン』をプレゼントします。
赤毛のアンは、わたしの人生のバイブルです。
今日は、涙なしには語れない、赤毛のアンとマシュウの関係について語りつくします。
目次
赤毛のアンは、たくさんのストーリーがわーっと同時進行
赤毛のアンは、1つの物語ですが、1つのストーリーではありません。
いくつものストーリーが、同時にワ~っと進んでいきます。
ザッとあげてこんなかんじ。
アンの成長ストーリー
マリラが母性に目覚めていくストーリー
ダイアナとの友情ストーリー
ギルバートとの恋愛ストーリー
マシュウの無償の愛ストーリー
だからなのか、読んでいると、心が本当にいそがしいです。
その中でも大きな柱、マシュウの無償の愛のストーリ-を今日は記事にします。
愛情に飢え、自己肯定感の低いアン
アンは孤児なので、愛された記憶がありません。
だからなのか、初期のアンは自己肯定感がものすごく低いです。
「容姿がもっと美しかったら人生もっと違ったかもしれない。
ピンク色が大好きだけど、赤毛だから絶対に、自分には似合わない。
名前だって好きじゃない。
あたしを本当に待っててくれる人なんていないってこと、知ってる」
マリラが、自分の身の上を話すように言うと…
「ああ自分のことなんて、ほんとに話す値うちがないんです」
と言う。
アンの身の上
アンが生後3ヶ月の時に母親が亡くなり、その4日後に父親も。
「それであたしが孤児になってしまったもんで、どうしたらいいかみんな困ってしまったってトマスの小母さんが言ったわ。ねえ、そのころでさえ、だれもあたしをほしがる人はなかったのよ。それがあたしの運命らしいわ。」
p61
学校行ったことある?と尋ねるマリラに、
「あまり行ってないの」
と答えるアン。
一緒にくらした小母さんたちはあんたによくしてくれた?
「ええ、そのつもりでは、いたと思うわ。
でも、酒飲みの夫や、双子が3組もいたら大変でしょ。
二人ともよくしてくれたかったにちがいないとは思うけれど。」
マリラはそれ以上何も聞かなかった。
なんと飢えた、愛情にかつえた生活を送ってきたのだろう
p63
そんなアンですが、グリーンゲイブルスで大きな、無償の愛情を注がれることで、凍った心が、少しづつ溶かされていきます。
マシュウの大きな愛情
アンをグリン・ゲイブルス(マシュウとマリラの家)に置くとマリラが決心した時、
内気なマシュウの顔はよろこびで輝いた
p72
そこからマシュウは大きな愛情を、絶えずアンに注ぎます。
甘やかし褒める担当のマシュウ
アンを教育するのはマリラ。
マシュウは、アンの教育には少しも関係しないでよく、好きなだけ自由にアンを甘やかしてよいことになっていました。
「チョコレートあげるよ」
だが結局それもわるいとりきめではなかった。ちょっとしたほめ言葉が、ときにはありとあらゆる良心的な教育をよせ集めたとおなじくらいの効果を、あげることがあるからである。
p280
本当にそのとおりで、アンは自己肯定感をつみ重ねていきます。
自分に自信を持つようになり、内面は大きく成長し、勉学にも励むようになっていきます。
アンが良いことをすると、マシュウのやさしい鳶色の目が得意そうに輝く。
「さすがわしのアンじゃ」
アンはそれを見てとり、その輝きをまた見たいと熱烈に願い、熱心に物事に取り組む。
*マリラもアンに愛をそそぎました。時に厳しく、ひそかにやさしく。こちらも大変すばらしく書きたいことはたくさんありますが、今回はマシュウサイドの記事なので割愛します。
愛情を注がれ続けたアンは
自分以外のだれにもなりたくないと思うようになります。
こんな最高の自己肯定あるでしょうか。
自分の名前ですら嫌いだった少女が、グリン・ゲイブルスのアンのほかになりたくないと言うようになったのですから。
「そうね、あたしは自分のほか、だれにもなりたくないわ。たとえ一生、ダイヤモンドに慰めてもらえずにすごしても」とアンは言った。
「あたし、真珠の首かざりをつけた、グリン・ゲイブルスのアンで大満足だわ。マシュウ小父さんがこの首かざりにこめた愛情が、ピンク夫人の宝石に劣らないことを知ってるんですもの」p391
マシュウの感動的な2つのことば
マシュウは、自分の娘をかたくやさしく抱きしめて放さないですむならと思った瞬間、目に涙がうかんできてしまい、外に1人で出ます。
そうしてつぶやきます。
(マシュウは、人前では、長くは話しません。これは、独り言です。)
「そうさな、あの子もたいして甘やかされもしなかったようだ」と彼は得意そうにつぶやいた。「わしがときたま、おせっかいをやいても結局あまりじゃまにはならなかったというものさ。あの子はりこうできれいだし、なによりいいことに愛情がある。あの子はわしらにとっては祝福だ。まったくあのスペンサーの奥さんはありがたいまちがいをしでかしてくれたものさ-運がよかったんだな。いや、そんなものじゃない、神様の思し召しだ。あの子がわしらに入用だってことは神様はごらんになったからだと思うよ」
p394
マシュウはだんだん衰えていきます。
働き者なので、それでも無理して働き続けてしまいます。
アンも、「どうしてもう少しいいかげんに仕事できないの?」と心配します。
でもマシュウは、「わしにはそれができそうもないよ」「死ぬまで働き続けるだろうよ」と答えます。
そんなマシュウにアンは、「もしあたしが男の子だったらもっと役に立ってマシュウのことを楽させてあげられるのに…」と言います。
マシュウはそんなアンに、こんな言葉をかけます。
「そうさな、わしには十二人の男の子よりもお前一人のほうがいいよ」とマシュウはアンの手をさすった。「いいかい?-十二人の男の子よりいいんだからね。」
p411
アンに対する気持ちをこんな直接的にアンに、しかも2度も言い聞かせるように言ったのは初めてです。
そして次の日、マシュウは亡くなってしまいます。
でもアンが、マシュウからもらった愛情は無くなることはありません。
Mr.ChildrenのHANABI
突然ですが、ミスチルのHANABIという曲が、マシュウにすごく合っているんです!
どれくらいの値打ちがあるだろう?
僕が今生きているこの世界に
すべてが無意味だって思える
ちょっと疲れてんのかなぁ
HANABI/Mr.Children
アンと出逢う前のマシュウはこんなこと思ったりしたのではないかなぁ。
考えすぎて言葉に詰まる
自分の不器用さが嫌い
HANABI/Mr.Children
「そうさな」しか言わないマシュウ。
心の中ではこんな風だったのかもしれない。
さよならが迎えに来ることを
最初からわかっていたとしたって
もう一回もう一回
もう一回もう一回
何度でも君に逢いたい
めぐり逢えたことでこんなに世界が美しく見えるなんて
想像さえもしていない 単純だって笑うかい?
君に心からありがとうを言うよ
HANABI/Mr.Children
もう一回もう一回が、亡くなる前の日のマシュウの心の叫びに聴こえます。
短い残りの人生の時間の中でアンに何をしてやれるか、少しでも多くアンに何かを与えてあげたい、そんなマシュウの想いがこの歌とすごく合っています。
まとめ
自己肯定感のある人間に育てるためには、他者が愛して肯定し続けることが本当に大切。
誰かを育てる機会に恵まれたひとは、愛情いっぱいで育ててほしいと切実におもいました。
たいせつにしたいことば
しかし、マリラが部屋から出て行ってしまうと、いつもきまった自分の片すみに黙りこくってすわっていたマシュウがアンの肩に手をかけて、
「お前のロマンスをすっかりやめてはいけないよ」とアンにもじもじしながらささやいた。
「すこしならいいことだよ-あんまり度を越しちゃいけないがね、もちろん-。だがすこしはつづけるんだよ、アンや、すこしはつづけたほうがいいよ」
p328
誰も皆 悲しみを抱いてる
だけど素敵な明日を願っている
臆病風に吹かれて 波風がたった世界を
どれだけ愛することができるだろう?
HANABI/Mr.Children
出典 赤毛のアン [ ルーシー・モード・モンゴメリ 村岡花子訳]
ここまで読んでいただきありがとうございます☆゜:。*゜+
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